マヨルカ島サイクリングツアー

1週間の休暇をどう使うか?

この記事はロードバイク Advent Calendar 2025の12月18日の記事です。

職場のシステムの入れ替えのため、11月の第1週が休みになった。とはいえ、世間は平日なので、子供は学校あるし、土日を組み合わせて9連休になるのは僕だけ。というわけで家族の許諾を得て、サイクリング天国らしいスペイン・マヨルカ島へ旅行に行くことにした。

プラン

フライト

マヨルカ島へは直行便がないので、ヨーロッパのどこかを経由することになる。関西空港を22:30に出発するイスタンブール便があり、金曜終業後に余裕を持って出発できるのでこの便を選択。現地着が土曜の16:30とほぼ24時間の移動。帰路は現地を土曜の12:30発、関空に18:30着の8泊10日、初日と最終日は空港との移動だけになるので、現地で6日間走ることができる。

滞在地、宿泊

走りたいエリアは島の北西部に偏るので、北部の港町、アルクディアで洗濯機ある部屋を探し、1LDKのアパートを借りた。7泊で7万円弱。最後の1泊は直前になれば安くなるよ、とのアドバイスをいただき、現地滞在中に空港に近い8人部屋2段ベッド(6,000円)のユースホステルを探して予約した。

自転車

自転車を持っていくとなると預託料金が必要になるが、片道150ユーロ、さらにバルセロナ-パルマ・マヨルカ間はエア・ヨーロッパ運行のコードシェア便で、こちらの料金は別途問い合わせ、となり結構費用がかかる。

じゃあ借りるか、とレンタルバイクを探すと、レンタルショップがたくさんあり、105Di2クラスのバイクを6日借りて200ユーロから、という価格帯。

宿の近くにキャノンデールを扱ってる店があり、所有しているバイクと同じSuperSIX EVOの105Di2のものを予約した。6日のレンタルが€215と破損をカバーする保険が€25、事前予約によるディスカウント10%で€218。

同じモデル、同じサイズなので違和感なく乗れる、と思っていたが、コラムを切らずにスペーサー多めに積んであって、ハンドルが高め(2024 Super SIX EVOのステムは上にスペーサーを積めない)なのと、25Cのタイヤを履いているのが気になった。

アクスル用の6mmアーレンキー、チューブ、タイヤレバーの入ったサドルバッグとポンプは付属、ペダル、ヘルメット、シューズ、ボトルも別途借りられるけど、これは自分のものを持参した。

借りたSuper six EVO

走るルート

ひとまず、サイクルコンピュータ(Edge530)にマヨルカ島の地図を転送しておく。

日本語圏にはコースの紹介などないので、Epic Road rideからマヨルカ島のコースを6本紹介する記事を見つけて、このコースをベースにする。

ウェア

11月初頭のマヨルカの気候がよくわからない。とりあえず夏生地の長袖ジャージとビブパンツ、ベスト、冬生地の長袖ジャージとレッグウォーマーを用意。結果は夏生地の長袖だけで足りた。

実走

1日目 Cap de Formentor 60km

 

初日は移動のみなので、滞在2日目。レンタルショップの開店時間に訪問してロードを受け取り、持参したペダルをつけてサドル高を調整してもらうなどしてもらう。

Cafe du Cyclisteのサイトに紹介されていた、灯台のあるFormentor岬への往復60kmを走る。

岬に向け、荒涼とした岩山に開かれた道を走っていく。ポリェンサを出てから、サイクリストとすれ違ったり、追い抜いたりする機会が増えた。

岬の先端にある灯台にはカフェがあり、コーヒーとエンサイマダを買って外で食べる。

ポート・ポリェンサまで戻ったところで、バイクラックがあるレストランに寄って昼食。メニューに書いてあるお店の紹介を読んでいると、ウィギンスのバイクを展示してあると書いてある。見せてもらいにいくと世界戦TT優勝バイクが展示してあった。

2日目 Tramuntana 山脈

二日目は朝早めに出られるので、150km程度走るTramutana山脈縦断ルートに挑むことにする。補給食として、スーパー(Eroski)で買ったハードパンをジャムサンドにしてジャージのポケットに入れて持参した。

延々こんな農道で不安になるが走りやすい

前半は畑の間の農道を走り続け、ロングライドなのに本当にこれでいいのかな、と不安になるが、すばらしいコースプランニングだったことを実感する。交通量の多い通りを使わず、分岐が少なく、それでいて適度な道幅と整備された路面が確保されており、オリーブ畑や羊の放牧された草原を縫って走る、自転車乗りの好みをよく理解している人が引いたルートだ。

山脈の南東側を走り、ブニョラで折り返し。Coll de Soller を越え、いよいよ山脈に取り掛かるあたりでレストランに飛び込んで昼食。

借りたロードはフロントが50-34、リアが11-34。山脈への登りになっても5%くらいまでの勾配で済み、フロントをインナーに変速する必要がなく、快適に走ることができる。人里を離れた割とハードなコースだが、数分おきにロードに乗った人とすれ違ったり、登っていく人に追いついたり、と結構走っている人がいる。

最高点で870mあたりまで登ったあとは降り。ダム湖や地中海を眺めながら快走。ポリェンサに出て昨日と同じルートでアルクディアに帰還。一度パンクしてチューブを使ったのと、Di2シフターの電池残量警告が出ていたので、レンタルショップに寄って交換してもらった。

3日目 Puig de Randa

前日がハードだったので、足休めとして軽めのルートを選択。といっても島の中央部まで行って戻ってくる120kmのルート。前日は不安に思ったルーティングだが、今日は信頼してるので、ひたすら農道を繋いで距離を稼いでいくルートを淡々と走る。

この日のタイトルになっているPuig de Randa は山頂に修道院があり、レストランもある。割とメジャーなヒルクライムポイントらしく、登り始めてしばらくすると、登っているサイクリストをちらほら見かけるようになった。山頂に着くとRCCなどのグループライドが何組か休憩していた。

しばらく休憩して引き返し、帰路につく。この日もレストランの前を通りかかったタイミングで少し早めに昼食を食べる。普通の観光ではこんなところで食事しないよな…

マヨルカでサイクリングするメジャーコースは、Formentor岬や、Tramuntana山脈、翌日行くSa Calobraあたりだけど、この日の農道で街を繋いでいくルートはコースそのものが素晴らしかった。

4日目 Coll dels Reis to Sa Calobra

 

4日目は絶景ヒルクライム&ダウンヒルのSa Calobraを目指す。コースはシクロワイアードにあった宮澤さんのSkyチームキャンプ訪問レポートにあるもの。

ポリェンサからTramutana山脈を2日目の最後と逆に走っていき、Coll dels Reisから入江のSa Calobraへ降る。ここと初日に走ったFormentor岬への道路は観光のために作られただけあって、コースの見晴らし、ルートの美しさがたまらない。

下り切った先は小さな入江になっており、レストランが数軒あるだけ。ここへ通じる道は今降ってきたReis峠しかないので、帰りは682mまで登り返さないといけない。とりあえずサンドイッチとエスプレッソを食べて折り返す。

Reis峠までの素晴らしいルートを登り始めると、上から次々にロード乗った人たちが降ってくる。この人らみんな682mを下まで降りて登り返すんだ、とあきれたが、ここにきたら走らずにいられないだろう。標高差はそれなりに大きいけど、あいかわらず50×34あれば登れる程度の勾配なので淡々と登っていける。

登り返した後、インカへ降るべくバタイア峠に向かうと、ガソリンスタンドにサイクリスト(=おっさん)が群れていた。僕もとまってコーラを買って一息。このスタンド、Eバイクの充電スタンドまであり、ガソリンより自転車向けの飲食の売り上げの方が多いんでなかろうか。

インカからの帰路は高速道路の側道、といっても80km規制の車道を延々走るルートになっており、あらためて昨日までのルートの組み立てが素晴らしかったことを実感した。

あとれStravaを確認すると、Coll dels Reisのセグメントに記録を残している人が16万人。大阪でメジャーな鍋谷峠が1,300人なので、100倍以上の人が走っていることになる。

5日目 Santa Magdalena and Cap de Formentor

5日目。最終日なので軽めなコースとして、サンタ・マグダレーナ修道院を目指す。この日は天気が悪く、走り始めて1時間くらいで雨が降り出した。1時間程度で止みそうな予報だったので、ちょうど通りかかったポブラの街でカフェに入り、フラットホワイトとレモンパイをいただいて雨宿り。

その後は降られることもなく、修道院のある山頂まで淡々と走る。今日のコースもEpic Road Rideで紹介されていたルートだが、あいかわらずルーティングが素晴らしい。修道院からの帰路、コースがカンパネの街の広場を通る設定になっており、ここで昼食を取れという意図なのだな、とランチ。最後にもういちどFormentor岬まで足を伸ばし、灯台から地中海を眺めて5日間のライドを締め括った。

マヨルカ島ライドガイド

レンタバイクの充実

マヨルカ島はドイツ、イギリス、フランスからサイクリストが乗りに来るので、自転車に乗るためのインフラが充実している。大きな街にはレンタルショップがたくさんあり、キャノンデール、スペシャライズド、TREK、GIANT、CUBE、ピナレロ、SCOTTとショップによりメーカーもある程度選べ、車種もロード、E-MTB、E-Road、E-City、グラベルバイク、と一通り用意されている。乗れる人はロード、自信がない人はE-Road、という組み合わせで乗ってる集団も見かけたので、グループで行ってもレベルに合わせていろんな選択肢がとれるし、あらかじめレンタルショップのWebで用意されている自転車やサイズが確認できるので、事前に検討して予約しておけばよい。

数日のライドのために自転車を持っていくことを思えば、レンタル費用も許容範囲内かと思う。

だいたい、アルテグラDi2+カーボンホイール、105Di2+アルミホイール、アルミフレーム、105メカ、の3グレードが選択肢として用意されているようだ。

コース

コースもStrava、Ride with GPSをはじめ、人気エリアなので紹介記事やGPXデータが公開されており、これと今時のGPSサイコンを使えば不安なく走ることができた。

ツールやジロで見る雄大な峠や、エタップやブルベなどイベントへの参加、を目的に乗るのもいいけど、自分でプランニングして、ただ乗るためだけに行く目的地としてはいいところだと思う。

そもそも

5日間で600km乗り倒すような体力のいる旅行なんて、いつまでもできるわけじゃないので、チャンスがあれば一人だろうと家族であろうと行ける時に行っておくべき。むしろ一人でないと難しい。

ロードに乗る環境としても、交差点がランドアバウトになっており、信号が少なく、街と街の間が平原になっている地域なら日本で乗るよりよっぽど快適。

さあ、1週間の休みをとって海外ライドに行こう。

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